ぼやき -3-
俺が使い込んだ分を姉貴が補填してくれたから、やっと冒険家業を再開できる!
と思った矢先。
「ごめんっ!」
姉貴の手には、鈍く光る新しいハンマーがあった。
「え・・・・・・・。姉貴ぃ、そりゃないよ・・・。」
思わず、泣き言が零れる。
「うっ・・・・・・。」
と姉貴がたじろいだのはほんの一瞬。
「もとはと言えば、あんたがお金を使い込むのが悪い!」
次の瞬間には一蹴された。
と、まぁ。
そういう訳で、いまだに毎日甲羅干し生活を送ってるって訳だ。
「兄さんさぁ、お金のかからないとこで、狩ろうとか思わないわけ?」
椅子を片手に家に向かってる時に、棒(ぼう)が切り出した。
「考えない訳じゃ、ないんだが・・・」
ちょっと痛いところをつかれたので、思わず口ごもる。
「ないんだが?」
すかさず、桧が容赦なく突っ込んでくる。
はぁ、やっぱり流してはくれないか・・・。
「一度、あのぎりぎりの興奮を味わうと、もうぬるい狩り場には魅力を感じなくってさ。
姉貴に迷惑かけんのもわかってるけど、ついつい突っ込んでっちまうんだよなぁ。」
「馬鹿?」「・・・・・・はぁ。」
桧の厳しいつっこみと、棒(ぼう)のため息が重なる。
だから、言いたくなかったんだ・・・。
「兄さんってさぁ、ちょっと鈍いから、全く気付いてないでしょ。」
と、辛辣な言葉を投げつつ、棒(ぼう)が教えてくれた。
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